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高度専門職の徹底解説|要件・優遇措置・申請方法を詳しく解説

高度専門職の徹底解説|要件・優遇措置・申請方法を詳しく解説

高度専門職の意義と国内での推移

高度専門職とは、日本政府が特に優秀な外国人労働者を受け入れるために設けた在留資格です。高度な知識や技術を有する外国人を対象とし、日本経済の発展や国際競争力の強化を目的としています。

この制度では、高度人材ポイント制を採用し、学歴・職歴・年収・研究実績などの要素を総合的に評価します。一定のポイントを満たすと、高度専門職1号として在留資格が認められ、さまざまな優遇措置が受けられます。また、一定の条件を満たせば、高度専門職2号に移行することも可能です。

 以下のグラフは、日本での2012年から2024年までの高度専門職の人数の推移を示しています。 グラフからも分かるように、高度専門職の人数はここ数年で急増しています。特に「専門・技術」分野では顕著な増加が見られ、今後も外国人高度人材の需要は更に高まると予想されています。この傾向は、企業がグローバルな競争力を高めるために、より多くの高度なスキルを持つ人材を必要としていることを反映しています。

高度専門職の推移

参考:出入国在留管理庁HP

高度人材ポイント制の仕組みと評価項目

ポイント制導入の背景と目的

日本では、少子高齢化により労働力不足が深刻化しています。そのため、政府は高度な専門知識や技術を持つ外国人を積極的に受け入れる施策として、高度人材ポイント制を導入しました。この制度は、日本経済の成長を支える高度人材の確保を目的とし、優秀な人材に対して迅速な在留資格付与と特別な優遇措置を提供します。

評価項目と配点の詳細

高度人材ポイント制では、以下の要素が評価されます。

  • 学歴(最大30点)修士号:20点                             博士号:30点
  • 職歴(最大25点)3年以上の実務経験:10点                             7年以上の実務経験:15点                             10年以上の実務経験:25点
  • 年収(最大40点)600万円以上:10点                              800万円以上:15点                              1,000万円以上:20点                              3,000万円以上:40点
  • 研究実績・資格(最大20点)国際的な賞の受賞:15点
                  日本の公的資格の取得:5〜10点
  • その他(最大15点)日本の大学卒業者:10点
             日本語能力試験N1合格者:15点

70点以上獲得のメリット

高度人材ポイント制で70点以上を獲得すると、高度専門職1号の在留資格を取得でき、以下の優遇措置が受けられます。

高度専門職1号の優遇措置の具体例

複合的な在留活動の許容:高度専門職1号では、1つの職種に限定されず、複数の活動が認められます。たとえば、企業の経営をしながら大学で研究を行うことも可能です。

在留期間「5年」の付与:通常の在留資格では在留期間が1〜3年ですが、高度専門職1号では原則として5年の在留期間が認められます。

永住許可要件の緩和:高度専門職1号での在留期間が3年以上になると、通常よりも早く永住権を申請できるメリットがあります。

配偶者の就労許可:高度専門職1号の配偶者は、通常の制限なしに就労が可能です。

親の帯同許可の条件:一定の条件を満たせば、自身の親を日本に帯同することが認められます。たとえば、配偶者が妊娠・出産を控えている場合などが該当します。

家事使用人の帯同許可:高額所得者に限り、家事使用人を連れて来日することが認められています。

入国・在留手続きの優先処理:通常の申請よりも迅速に審査が行われ、短期間で在留資格が取得できます。

申請方法について

高度専門職の申請は、以下の手順で行います。

  1. 申請書類の準備
    高度人材ポイント制を活用する場合、必要な書類を整備し、評価項目に基づいてポイントを計算します。
  2. 申請の提出
    入国管理局に必要書類を提出し、申請を行います。申請書類には、履歴書や学歴証明書、職歴証明書、年収証明書、研究実績の証明書などが含まれます。
  3. 審査結果の通知
    審査が行われた後、結果が通知されます。70点以上を取得した場合、高度専門職1号の在留資格が付与されます。
  4. 在留資格の取得
    申請が承認されると、在留資格が交付されます。

申請方法の詳細については、出入国在留管理庁の公式サイトに記載された最新情報を確認することをお勧めします。
公式サイトのリンクはこちらでご確認ください:出入国在留管理庁 HP

特別高度人材制度(J-Skip)の概要と特典

J-Skip導入の背景と目的

J-Skip(Japan System for Special Highly Skilled Professionals)は、日本政府が2023年に導入した制度で、特に優れた高度人材を迅速に受け入れることを目的としています。通常の高度人材ポイント制よりも簡易な基準で審査が行われ、より短期間で高度専門職の資格を取得できるようになっています。

特別高度人材の認定基準

J-Skipの対象となるのは、以下のいずれかの基準を満たす高度人材です。

  1. 高額所得者:年収が2,000万円以上あること。
  2. 高度な学歴・職歴:修士号または博士号を取得しており、一定の職歴を有すること。具体的には、博士号を取得していれば職歴なしでも対象となる場合があります。

J-Skipによる優遇措置の詳細

J-Skipに認定されると、以下の優遇措置を受けられます。

  • 永住申請の短縮:通常、永住許可を申請するには10年以上の在留が必要ですが、J-Skip認定者は1〜3年で申請が可能になります。
  • 迅速な入国・在留手続き:在留資格の申請が最短で10日程度で処理されます。
  • 家族の優遇:配偶者の就労許可の緩和され、また親の帯同許可が比較的容易です。

まとめ

高度専門職制度は、日本で働きたい高度人材にとって非常に魅力的な制度です。特に、高度人材ポイント制やJ-Skip制度を活用することで、スムーズな入国や早期の永住許可取得が可能になります。

企業側にとっても、優秀な人材を確保するために高度専門職制度の理解と活用は重要です。申請手続きを適切に行い、外国人材を受け入れる体制を整えることが成功の鍵となるでしょう。この情報を活用し、高度人材の採用やキャリア形成を進めてみましょう。

株式会社TCJグローバルは、日本語教育における36年の実績を基に、国内外において日本語教育を軸とした人材育成に取り組んでおります。特にベトナムやネパールをはじめとする海外拠点において、日本語教育と日本語教師養成サービスの運営や日本への就労支援等、様々な活動を展開しております。また、外国人労働者を雇用されている企業様向けに、日本語教育コンサルティングや、ニーズに応じた外国人材のご紹介サービスを提供しております。ご相談やお問い合わせは、どうぞお気軽にご連絡ください。

著者紹介:田嶋由樹(人事職・ライター)
人材業界を経てグローバル企業での人事職を経験

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部